高校生ともなると・・・
オーダーグローブってつくる子多いのかな??
長男の実力じゃあそんな高価なもんムダムダ!
幸い欲しいとも言わないんで無縁の物かと思っていた。
実は内心、オヤジとしては欲しいと言い出したら買ってやろうと常々思っていた。
例え実力にそぐわない物だとしても日々真面目に頑張ってる姿を見て、高校野球をやっていたという証しを形として残してやるのもいいんじゃないかなと。
ちょっと甘いとも思ったけど本人が言ってきたらそうしてやるつもりだった。
約3ヶ月前、遂にその時がきた。
「買ってもいいかな?」
自信なさそうにおねだりしてきた(笑)
それまで使ってきたグラブには穴があいていた。殆ど試合にも出ていないのに練習だけでこうもなるのか?
よっぽど安いグラブだったのか(笑)
早速ショップに出向き長男はあーでもない、こーでもないと店員さんと打合せ。
シュミレーターで出来上がったデザインを見て「父さん、どうかな?」
とても嬉しそうだ。
オヤジは一つだけ条件を出した。
よくオーダーグラブを造る時、多くの人が中に刺繍を入れる。
短い言葉だが自分を奮い立たせる言葉。
例えば「一球入魂」みたいな四字熟語のような言葉。
それをオヤジに決めさせてくれと・・・
長男は二つ返事でokをくれた。
待つ事3ヶ月。
今日ようやくショップから届いた旨の連絡があり、仕事帰りに取りに行く。
残念ながら専門外なので良し悪しの評価は出来ない。
小僧のイメージ通りなのかな?
そして刺繍の言葉とは…
「最後に笑顔」
カッコイイ言葉でもないし、奮い立たせる言葉でもない。
けれどオヤジは長男にはこの言葉しか思いつかなかった。
中学で始めた野球。
人より遅れをとり試合にも出場機会に恵まれなかった長男に対し当時の野球部顧問は進学指導の際、「優月には高校で試合に出てもらいたい。野球のレベルを下げてでも出場機会のある学校に進学して欲しい」と言った。
それは「お前にはムリだ」と捉えるか、中学で苦労した分、高校では「試合」に出て欲しいという愛情か。
しかし長男は頑なに今の高校の進学を望んだ。
長男の通う浜北西高は甲子園や県大会常連チームではないが決して弱い学校ではない。
各中学で主力として活躍してきた子供達が集まってくる強豪チームだと思っている。
当然他の子と比べれば実力の差は歴然。
出場機会は以前にも増して減った。
しかし長男はこの環境の中に身を置くことを選択し今も必死に食らいついている。
そんな長男にこの言葉を選んだ。
野球で苦労した分、やっぱり「最後に笑顔」で終わって欲しい。
高校野球が終わる時、やっぱり最後は野球やってて良かった。楽しかったと笑顔で終えてもらいたい。
そんな願いだ。
とはいえ、まだ高校野球は終わったわけではない!
長男にはまだまだ狙ってもらわないといけない。
野球に対しもっと貪欲な執念を持って欲しい。
やるべき事をやっての結果だ。
グラブは飾り物ではない。
残された時間、這いつくばってでもこのグラブと共に頑張ってもらいたい。
さて・・・
そろそろ帰ってくるかな?
どんな顔でこのグラブと対面するんだろ・・・